織姫便り

心霊住宅情報館

新築祝いで会社の同僚の新居を訪れ、何気なく撮影した写真。そこには奇怪な人影が写っていた。同僚の身を案じて相談を依頼してきた人物から送付された画像データーを見た霊能者は……。

第35物件 スキマの女……(広島県H市)

スキマの女……(広島県H市)
今回は後味の悪い話で、しかも私が直接現場へ赴いて解決を図った案件でもないので、書くかどうか迷いました。しかし、つい最近ある事実が追加的に判明したので、この機にご紹介させていただくことにします。

事の発端は半年前。どこから私の噂を聞きつけたのか、全く面識がない方から突然、電話をもらいました。その人は中国地方にお住まいの四十代男性で、どうしても見てもらいたい写真がある、とのことでした。その場の遠隔霊視で不審人物でないことを確認した上で、送られてきたメールに添付されたファイルを開いてみました。するとスマホか専用のデジカメで撮影されたその画像データーのいずれにも、はっきりとした霊体が写り込んでおり、しかもかなり強い邪気を発していたのです。

画像は合計五枚。本人の説明によれば、新築の屋内の処々を撮影したものとのこと。一枚目はテーブルに御馳走が並んだ居間の光景で、合計六人の男女が並んで写っていたのですが、その一番端の中年女性とテレビ台との間のわずか数センチの隙間に、縦に歪んだ女の顔が浮かんでいました。二枚目から四枚目は青畳の和室の写真。掛け軸と花瓶が飾られた床の間をメインに撮影したものでした。一見、何の変哲もない光景でしたが、よく見ると違いました。花瓶置きの下のほんのわずかな隙間に、一枚目と同様の人物とおぼしき女の顔が今度は横に歪んだ形で写り込んでいたのです。そして極めつけは最後の一枚。それは同じ和室から眺めた庭の風景でした。松や花物の小灌木が配された日本庭園風の植栽を撮影したもので、一面に薄い霧がかかっており、依頼者のメールに書かれていた通りに90度横に回転させてみると、白い霧と思われていたのは巨大な女の顔の影であることが分かりました。

それから30分後、再び依頼者から電話が来ました。その写真は前月、会社の同僚の家へ新築祝いに行った時に撮影したもので「この五枚が一番はっきりと分かるので選んでお送りしたのですが、じつは当日、この家で撮影した全ての画像に同じ女が写り込んでいることに気づいたのです。それで家の主である同僚の身が心配になり、ご相談させていただきました」と告げられました。画像から強い恨みを持つ生き霊であることは分かったものの、間接霊視で読み取れるのはそこまでで後は現地で実際に調べる必要があると申し上げると、「家の持ち主にはとても言えないことなので、直に調べるのは無理だと思います。他を当たってみます」と言われ、それきりとなりました。

そしてつい先週、携帯の電話番号を整理している最中に受信記録に残っていた電話番号から男性のことを思い出し、その後どうなったのかを知りたくて折り返したところ、奥様と思しき方が電話口に出ました。そこで事情のあらましを伝えると「主人は先月、車の事故で亡くなりました」との返答。言葉に詰まりながらお悔やみを申し上げた後、件の新築についてそれとなくお聞きしてみると、その家では三ヶ月前にご主人が自死、妻子も行方不明となってしまって現在売りに出されていることが分かりました。むろんの女の生き霊の正体については、今もって不明のままです。

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