織姫便り

心霊住宅情報館

遺産相続で手にした古いマンションの一室。全面リフォームして貸し出しを始めたが、借り手が全く現れないという相談を受けた霊能者。自分は家相見や占い師ではないと言って電話を切ろうとしたところ、相談者がようやく重い口を開いた…。

第31物件 呪殺マンション……(埼玉県S市)

呪殺マンション……(埼玉県S市)
今から7年前に、共通の知り合いを通して、ある人物の相談に乗ったことがあります。当時その人は50代半ばの独身男性で、同じく独身のまま亡くなった父方の叔父からマンション物件の不動産を贈与されたとのことで。老後の年金の足しにしようとその部屋を全面改装して貸し出したのだが、半年が経過しても借り手が現れずに困っているという内容でした。

その時には何故、私のような者に相談をしてくるのかと不思議に思いました。さては霊能者という職業を、家相を見る風水師や占い師と混同しているのではないかと思い、その旨をお伝えして電話を切ろうしたところ、「いや、恐らく先生でなくては埒のあかない話なのです」と泣きつかれたのです。

翌週、問題のマンション近くの喫茶店で当人と待ち合わせて、詳細を聞くこととなりました。「叔父は生前、ある新宗教に凝っていた時期がありまして、そこの信者だった頃にその持ち部屋を自由に使わせていたらしいんです。そこはカルト犯罪とかそういう危険なことに関わる団体ではなかったようなのですが、かなり厳しい修行を信者に課していたそうでその上、教祖があまりに無茶なこと言うために信者数がなかなか増えず、最後まで宗教法人の認可は取れなかったそうです」。

過去形で語っていたので、今はその団体はないのですかとお訊きすると、自分も生前の叔父から断片的に聞かされただけであるし、ネットで名称を検索しても全くヒットしないので、現在どうなっているのかは分からないという答えが返ってきました。「叔父もそこには3年ほどしか入信していませんでした。団体に使わせていたその部屋を、お布施として寄付しろと言われて急に嫌になったそうです」。

その後、問題の部屋に向かいました。そこは交通の便の良い、街中のマンションの一室でした。広さは2LDKで、ベランダが東南に面している好条件の物件でした。しかし致命的なことに、室内で数分も過ごすと原因不明の頭痛や吐き気に襲われるのです。内見に訪れた人はおろか仲介業者まで同じ症状を発してしまうため、いまだに借り手が付かないでいたというわけです。「実は、リフォームの最中も職人が倒れて大変だったらしいです」。そんな話を背中で聞きながら室内を霊視したところ、恐ろしい事実が判明しました。「この物件は早急に売却すべきです。二束三文に買い叩かれても、売れるだけましと思って手放してください」と申し上げたのですが、怪訝な顔をされてそれきりとなりました。

相談者が急死したという話を人づてに聞かされたのは、それから約1ヶ月後のことでした。ひと言で説明すると、その部屋はかつて呪殺など反社会的な祈願の祈祷所として使用されていたのです。男性もまたその叔父も、強烈な負の因縁を背負い込んだことが原因で亡くなったようです。なお団体の仔細については霊視の目を以てしても知ることができず、後味の悪い結果となりました。同市内の知人業者の話では、問題の部屋は住む者もいないまま今も残っているそうです。

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