織姫便り

心霊住宅情報館

今回のテーマである家相学では、鬼門(北東・丑寅)と裏鬼門(南西・未申)の方角を侵すと不幸が起きると言われています。この方位は激しい地磁気のエネルギーが貫通するため、住む人の心と身体に変調をきたすことが多いそうです。

第16物件 鬼を呼び込む家……(群馬県T市)

鬼を呼び込む家……(群馬県T市)
群馬県の建設業者から改築した家屋を調べてほしいという依頼を受け、何だかとても急を要する雰囲気でしたので、翌日すぐに現地へ向かいました。最寄り駅で出迎えてくれた業者の車に揺られ、T市の市街地から少し外れた場所にある、畑地と緑に囲まれた大きな造りの一軒家に到着。そこで依頼主の営業部長とお会いしました。

「お待ちしておりました。この家は昨年、改築を請け負った物なのですが、完成後に色々と不都合が起きてしまいまして、施主はもうカンカンで欠陥住宅として訴えるとおっしゃっているんです。実はその方、地元の有力者の息子さんでして、社長にすぐ何とかしろと怒られて、慌てて先生をお呼びした次第でして…」単に物理的な欠陥であればその部分を直せば済むこと。わざわざ私が呼ばれたからには、人間の力ではどうにもならない事象が生じているということになります。その家でどんな霊現象が起きるのかを単刀直入に訊ねると、部長さんは暗い顔でうつむき、「色々とあるのですが、一番恐ろしいのは半透明の女やら子供やらが家の中を走り回ることです。昨夜、私もそれを実際に見てしまいました」と言って喉を詰まらせました。

私は敷地へ入ると、まずその外観を眺め渡しました。すると家屋全体を包み込む霊気の渦が見え、その渦の流れが玄関から屋内へ入り、裏手の窓から再び外へ噴き出しているのを確認。携帯していた方位磁石を取り出して調べると、案の定そこの玄関口は表鬼門の範囲内でした。「この玄関、鬼門ですね。改築前からここだったのですか?」「いいえ、施主の強い指示で仕方なくこの位置へ移しました。設計担当も私も縁起が悪いと何度も止めたのですが、取り合っていただけなくて」施主が自ら鬼門を選んで玄関を作ったのであれば、それは自己責任です。しかし建設業の受注を左右するほどの有力者の一族ということで、「あなたが悪い」とはどうしても言えない会社の苦衷を察しました。

私は家の中へ入り、一階と二階をくまなく見て回りました。屋内のそこかしこが悪霊化した亡者や動物霊の吹き溜まりと化しており、想像以上に深刻な状況でした。こんなところに無理をして住み続けたら、家族全員の命が奪われることは必至です。今まで鬼門や裏鬼門を侵してしまった物件を私はいくつも見てきました。しかし、これほど凄まじい実例に出会ったのは初めてです。鬼門の凶意がここまで極端な出方をするのはかえって不自然だと感じ、さらに霊的な探査を試みたところ、家の裏手の空き地一帯が廃寺の敷地内であったことが分かりました。付帯していた墓地の移転がおろそかに行われたらしく、辺りに残存する不浄の霊気が鬼門のパワーを極端に増幅させていたのです。そこで地元のお寺さんの協力を仰いで盛大な供養を執り行ったところ、何とか霊現象を食い止めることができました。ただし玄関位置はそのままなので、この先、施主の一家にろくなことは起きないと思います。

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