織姫便り

心霊住宅情報館

今回ご紹介するのは、大阪郊外の一軒家に起きた怪異です。
土地付きの中古家屋を購入した一家を襲った恐ろしい出来事とは……。

第4物件
呪いが詰め込まれた押し入れ……(大阪府S市)

呪いが詰め込まれた押し入れ……
友人が経営するヒーリングサロンのオープニングパーティに出席するため、泊まりがけで大阪へ出掛けた時のことです。当日のパーティの席でお祓いができる霊能者を探しているという女性を紹介され、詳しい話を聞くことになりました。

彼女の話によると、義理の妹一家が昨年、中古の一軒家を購入して住み始めたところ、引っ越したその日から奇怪な現象が続発して非常に困っている。誰もいない部屋から人の話し声や歩き回る音が聞こえてくる。電化製品や照明が勝手に点いたり消えたりする。一家の五歳になる女の子が、寝ている最中に女に襲われて首を絞められた。また、義妹夫婦も何度も家の中で謎の女の影を目撃している。最近はポルターガイスト現象まで起き始め、ダイニングの椅子が勝手に動いたり、テーブルに置いたコップが目の前で割れたりするようになってしまった。このままでは家に住み続けることができないので何とかして欲しい、とのことでした。

翌日、その女性の車で問題の家へ向かいました。現地に到着すると、挨拶もそこそこに各部屋を見て回ったのですが、その間、数珠を手放すことができませんでした。強い邪気が家中に充満し、まるで黒い霧の中を歩いているような感じがしたからです。これほどの強烈な邪気を放つ存在は人霊ではない……。案の定、私の霊視の網が捉えたのは、人間の女の形はしているものの中身は魔界の悪霊という恐ろしい相手だったのです。白装束の和服、頭には鉄輪(かなわ)をかぶったその姿は丑の刻参りを彷彿とさせました。真っ白な顔を真っ赤な唇を歪め、こちらを威嚇してきましたが、悪霊祓いの真言を念じると途端に苦しみ出し、目の前から逃げ出しました。その霊を追いかける形で二階へ上がり、物置代わりに使われていた和室へ飛び込みました。追い詰められた霊がその部屋の押し入れに消えるのを確認した後、御神酒と塩で室内の気をできるだけ浄化して結界を張りました。その上で押し入れをくまなく調べたところ、天袋の奥が二重になっていることが分かり、板を外して隠されていた物を引き出しました。

恐らくは前の住人が残していった物でしょう。それは数百枚にもわたる古びた呪符と、胴体に五寸釘を打たれた藁人形、紙の人形(ひとがた)などでした。呪符はいずれも人の血を使って書かれており、非常にたちの悪いものでした。そこには呪いをかけた複数の人物の名前も記されていましたが、その全員がすでにこの世の者ではないと分かりました。これらの呪物が放つ凄まじい邪気が人工的な悪霊を産み出し、様々な心霊現象を引き起こしていたのです。私は呪物を全て回収し、念入りに浄化した上で焚き上げました。家に呪物を残して去った人間が意図的にそれをしたのか、それとも持ち去るのを忘れて引っ越したのかは定かではありませんが、その凄まじい怨念と狂気に心底、身が震えました。

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