織姫便り

心霊住宅情報館

はじめにご紹介する物件は、東京都内の古くからの寺町に建つマンション。そこへ何気なく引っ越した男性が遭遇した、恐ろしい心霊体験をお読みください。

第1物件
深夜、墓場からの来客が絶えない部屋……(東京都T区)

墓場からの来客が絶えない部屋
顧客の不動産会社から連絡を受けて、東京T区内の某マンションへ向かいました。下町情緒に溢れる界隈は、都内でもとくに寺院の数が多いことで知られていますが、問題の建物もまた小さなお寺の敷地と隣接しており、各部屋の北側の窓を開けると、ちょうどその寺の墓地が見下ろせる格好となっていました。その一室に引っ越したばかりの男性から幽霊が出るとの苦情を受けて、私の出動となった次第です。

男性の名前は仮に星さんとしておきます。彼の身に恐ろしい出来事が起きたのは、引っ越しから一週間目のこと。午前零時を回り、そろそろ寝ようかと思った頃、外から窓をコツコツと叩く奇妙な物音に気付いたそうです。まるで誰かが指先でガラスを軽く叩いているような……。首を傾げて北側のカーテンを開けてみたものの、そこにはただ暗闇が広がるだけ。風でも吹いたのだろうと考えて、とくに気にすることもなく就寝しました。しかし、星さんは安らかに眠ることはできませんでした。布団に入ってすぐ金縛りに遭い、身体が全く動かなくなったのです。そして次の瞬間、彼が寝ているベッドを取り巻くように複数の人影が浮かび上がり……!男もいれば女もおり、老人もいれば若者もいる。ただ、身なりまではよく分からない。そんな光景でした。総勢十体以上のその人影は皆一様に顔色が白く、口許に貼り付いたような笑みを浮かべ、目を爛々と輝かせて星さんの顔を一心不乱に覗き込んでいたのでした。

最初は酒酔いの幻覚かと思った星さん。しかし、人影のひとつから伸ばされた手が彼の頬にピタリと触れ、そのあまりの冷たさと鮮明な感触に(これは現実だ)と一瞬にして悟りました。そして、そのまま気を失ってしまい、再び気がつくとすでに明け方でした。その夜を境にして毎晩、寝ると必ず人影が現れるようになったそうです。最初のうちは単なる気の迷いだと虚勢を張ったものの、睡眠不足で次第に衰弱し、結局一ヶ月ともたずに部屋を退去する羽目になりました。

部屋の霊視を終えた私に担当者が「星さんの話、本当なんでしょうか」と訊ねてきたので、こうお答えしておきました。「霊道、つまり霊の通り道がちょうどマンションを貫通する形で続いています。このままではこの部屋で星さんと同じ体験をする人が続出するでしょうね。霊道の流れを一時的に変えることは可能ですが、すぐにまた元に戻ってしまうでしょう。この物件は転売した方が無難です」私の言葉に担当者が難しい表情を浮かべたので、さらに付け加えました。「星さんを取り囲んでいた霊は、隣の墓場から来た者だけではありません。その大半は、ここを通る死者の魂に連れて行かれたマンションの住人たちの霊です。このままだと人死が出てますます部屋が売りにくくなりますよ」そう言うと担当者は、重苦しい顔をして押し黙ってしまいました。その後、この部屋がどうなったのかは不明です。T区で賃貸物件をお探しの方はくれぐれもご注意ください。

<<一覧にもどる
公式LINE 電話占い・天女
電話占い天女 鑑定受付 0366321070